コラム記事

Article自然分娩の痛みはどれくらい?段階ごとの目安や3つの対処法を解説

未分類 2024.11.21

自然分娩の痛みはどれくらい?段階ごとの目安や3つの対処法を解説

自然分娩を検討している場合、陣痛や会陰切開などに伴う痛みへの懸念を抱く妊婦さんは少なくありません。痛みの程度や対処法について、気になることでしょう。

この記事では、自然分娩における痛みの程度を、分娩の段階別に詳しく解説します。不安を軽減して出産に臨めるよう、痛みへの対処法もぜひ参考にしてください。

段階別|自然分娩の痛み

自然分娩で生じる痛みは、お産の進行に合わせて以下のように変化していきます。

お産の段階 生じる痛みの種類
お産の前段階 前駆陣痛
お産の始まりから
赤ちゃん誕生まで
本陣痛、
会陰(えいん)切開の痛み
赤ちゃん誕生後 後陣痛、
出産後の体の痛み

3段階に分けて、痛みの特徴や強さの目安を解説します。

お産の前段階:前駆陣痛

出産が近づくと、子宮の筋肉が収縮する練習をしている状態の「前駆陣痛」が生じる場合があります。痛みの程度は、生理痛やお腹がキュッと締め付けられるような感覚、下痢のような感覚に近いでしょう。

個人差はありますが、前駆陣痛は妊娠36週頃から始まることが多く、数時間でおさまったり、数日間続いたりするケースもあります。痛みの強さや本陣痛までにかかる時間の長さも、産婦さんによって異なります。

お産の始まりから赤ちゃん誕生まで:本陣痛と会陰(えいん)切開の痛み

お産が開始すると、本陣痛により、痛みも徐々に強く長くなっていきます。分娩時には会陰(えいん)切開もおこなわれるケースが多いでしょう。この段階で感じる痛みの種類や程度を解説します。

本陣痛

本陣痛は、一般的に「陣痛」と呼ばれる状態です。定義上は「規則正しく10分以内または1時間に6回以上の痛みを伴ない分娩に至った子宮の収縮をいい、その開始時期を陣痛発来という」とされています。

個人差もありますが、子宮収縮と赤ちゃんの下降により、痛みはおへその下から腰全体にかけて強く感じるでしょう。「腰が砕けそう」と表現する産婦さんも多くいます。

陣痛は不規則で弱い状態から徐々に規則正しく強くなり、赤ちゃん誕生とともに消失します。

会陰(えいん)切開の痛み

会陰(えいん)とは、膣と肛門の間にある皮膚のことです。皮膚の伸びが悪いと、赤ちゃんが出てくるときに避けてしまう可能性があるため、切開をおこなうケースが多くあります。

会陰切開では、小さなハサミ状の器具を使って2~3cmほど会陰を切り、縫合は胎盤を出したあとにおこないます。切開するときの痛みは、局部麻酔を使用するため、あまり感じません。

緊急時には麻酔せずにおこなう場合もありますが、強い陣痛により、切られた瞬間は気にならなかったという方も多くいます。

赤ちゃん誕生後:後陣痛や出産後の体の痛み

赤ちゃんが生まれたあとも、後陣痛や産後のさまざまな体の痛みが生じる可能性があります。分娩が終わったあとの痛みについて解説します。

後陣痛

後陣痛は、赤ちゃん誕生後に子宮回復のために起こる痛みで、通常2〜3日ほど続きます。個人差はあるものの、生理痛に似ていると感じるケースが多いようです。

初産婦さんより経産婦さんのほうが強く感じやすい傾向があり、授乳により子宮を収縮するホルモンが分泌され、増強することもあります。

痛みが強いときには、お腹周りを温めたり、優しくマッサージしたりする方法があります。痛み止めの使用も可能であるため、つらいときは医師や看護師に相談してください。

出産後の体の痛み

個人差があるものの、出産直後から数週間は、以下のようにさまざまな痛みを経験するケースがあります。

  • 会陰部の痛み
  • 乳房の張りと痛み
  • 腰痛
  • 肩こりや首の痛み
  • 膝や手首の痛み

経過とともに解消していく痛みもあります。育児中の姿勢にも気を付けられるとよいでしょう。

ただし、出産後に強い頭痛や高熱、悪臭のある出血などが生じた場合は、速やかに出産した医療機関へ受診が必要です。感染症や高血圧など、治療が必要な状態になっている可能性があります。

自然分娩の痛みの対処法3選

自然分娩の痛みには、呼吸法を意識したり、環境を整えたりする方法で対処できます。呼吸法を事前に練習し、自分のリラックスできる環境を把握しておくと、陣痛時に取り入れやすくなるでしょう。

また、痛みに対して不安が大きい妊婦さんには、無痛分娩も一つの選択肢です。それぞれの対処法を解説するので、安心して出産に臨むために参考にしてください。

1.呼吸法を意識する

呼吸法は、自然分娩中の痛みを和らげるのに効果的とされています。代表的な呼吸法は、以下の2つです。

呼吸法 やり方
ラマーズ法 陣痛が弱いときは、三拍子でゆっくりと呼吸をおこなう。
強くなってきたら「ヒッヒッフー」の呼吸に切り替える。
「ヒッヒッ」と息を小刻みにおこない「フー」のタイミングで長めに息を吐く。
ソフロロジー法 楽な姿勢で自然な呼吸をおこない、ゆっくりと優しく長めに息を吐く。
陣痛が強くなってきたら、ゆっくりと深く強めに息を吐くよう意識していきむ。
吐き切ることで、自然に息を吸える。

呼吸法は看護師からの指導もありますが、妊娠中から練習しておくと、陣痛がきてもスムーズに対応できます。妊婦健診などであらかじめ聞いておくのもよいでしょう。

2.リラックスできる環境を整える

緊張を和らげて痛みを軽減できるよう、以下の方法で環境を整えるのもおすすめです。

  • マッサージ
  • アロマテラピー
  • 音楽

出産時に取り入れられるものがないか、出産を予定している医療機関に確認しましょう。立ち会い出産を希望している場合、パートナーとも共有しておくことが大切です。

3.無痛分娩を選択する

無痛分娩は、麻酔を使って分娩時の痛みを3分の1程度に和らげられる出産方法です。痛みに不安を感じる妊婦さんは、選択肢の一つとして考えてもよいでしょう。

無痛分娩の種類やメリット・デメリットを解説します。

無痛分娩の種類と効果

無痛分娩には、以下の3種類があります。

種類 特徴
硬膜外麻酔 背中からカテーテルを挿入し、硬膜外腔に麻酔薬を持続的に投与
脊髄くも膜下麻酔 硬膜外麻酔と同じ針穴から出る専用の針から、脊髄くも膜下腔に麻酔薬を投与
静脈麻酔 点滴で麻酔薬を投与

※硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔が難しいと判断された場合におこなう

無痛分娩は、多くが一般的な手術でも使用される硬膜外麻酔を使用します。麻酔薬の使用により、お産の痛みを3分の1程度に軽減することが可能です。

麻酔が不十分と判断された場合は、脊髄くも膜下麻酔を併用するケースもあります。一方で、静脈麻酔は、硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔より効果が低くなります。

無痛分娩のメリット・デメリット

無痛分娩のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
・痛みの軽減と安心感につながる

・体力が温存され産後の回復がスムーズになる

・精神的な余裕により出産時の感動が増える

・麻酔による副作用が出る可能性がある

・分娩時間が延長する可能性がある

・麻酔効果が間に合わない可能性がある

無痛分娩は、痛みの軽減のほか、安心感や体力の温存、産後の回復などに良い影響をもたらします。麻酔による副作用が出現したり、分娩時間の延長や効果が間に合わないなどの状況になったりする可能性もありますが、投与は医師が状況を見て適切に判断していきます。

無痛分娩を希望する場合は、麻酔科の専門医が在籍しており、実績が豊富な医療機関を選ぶと安心できるでしょう。

自然分娩の痛みに向き合うための心の準備

自然分娩の痛みに向き合うために、以下のような方法で心の準備をしておきましょう。

  • 妊婦健診で医師や看護師に相談して不安や疑問を解消しておく
  • パートナーや家族のサポートで精神的な支えを得る
  • 先輩ママのポジティブな出産体験談を聞いておく
  • 赤ちゃんとの出会いを想像する

お産はリラックスして臨むことが大切です。不安を残さないよう、疑問点は医師や看護師に気軽に聞いてください。

とはいえ、いざ出産となると不安に思う方も多いため、パートナーへの協力を事前にお願いしておくのがおすすめです。できる限りのことをしておくと、不安の解消につながります。痛みを感じ始めたら「赤ちゃんに会えるための合図だ」とポジティブに捉えておく姿勢も大切です。

まとめ

自然分娩の痛みは個人差が大きいものの、本陣痛では「腰が砕けそうだった」と表現する産婦さんも多くいます。痛みにうまく対処するためには、呼吸法を意識したり、リラックスできる環境を整えたりする方法があります。

また、痛みに不安の大きい妊婦さんの場合、無痛分娩も一つの選択肢です。無痛分娩は分娩時の痛みを3分の1程度に軽減できるとされている出産方法であり、身体的・精神的にも余裕が生まれます。安心して出産に臨めるよう、麻酔科の専門医が在籍する医療機関に相談するとよいでしょう。

Topicsよく読まれる記事

Categoryカテゴリー

カテゴリー