Article初産で無痛分娩できない場合の理由は?選択のメリット・デメリットも解説
未分類 2024.12.08
初めての出産は、楽しみな気持ちである反面、陣痛への不安も大きいでしょう。「初産婦さんは無痛分娩が選択できない」といった医療機関もあり、戸惑っている妊婦さんもいるかもしれません。
初産婦さんの無痛分娩を取り扱っていない医療機関はあるものの、実施できるところもあります。
この記事では、初産婦さんが無痛分娩を選べない場合の理由や、実際に選択できる条件を解説します。初産婦さんが無痛分娩をおこなうメリット・デメリットも紹介しますので、自身に合った出産方法を、納得して選べるよう参考にしてください。
初産婦さんは無痛分娩を選択できない?
初産婦さんでも無痛分娩を実施することは可能です。しかし、すべての医療機関が対応しているわけではありません。
それぞれ詳しく解説します。
初産婦さんでも無痛分娩は可能
初産婦さんでも、無痛分娩を選択することは可能です。無痛分娩を選択できない産婦さんの代表例は、以下のとおりです。
- 身長が150cm以下である
- BMIが25以上である
- 分娩時に35歳以上になる
- 子宮筋腫を合併している
- 血液が固まりにくい体質(血液凝固障害)である
- 局所麻酔薬アレルギーをもっている
- 大量に出血している、脱水が著しい
- 背骨に変形がある、背骨の手術後である、背中の神経に病気がある
- 注射する部位に膿が溜まっている、全身がばい菌に侵されている
- 高熱が出ている
これらの状況に当てはまる場合には、初産婦さんに限らず、経産婦さんでも無痛分娩を選択できません。
反対に、体質や状況に問題がないと判断されれば、医療機関によっては初産婦さんでも無痛分娩を実施できます。
できないとする医療機関もある
初産婦さんでも無痛分娩をおこなうことは不可能ではありませんが、できない医療機関もあります。
そのため、初産婦さんが無痛分娩を希望する場合には、事前に医療機関に問い合わせて確認することが大切です。安全・安心なお産を迎えられるよう、分娩方法について、納得いくまで相談できる医療機関を選びましょう。
初産婦さんが無痛分娩を選択できないといわれる場合の理由
初産婦さんが無痛分娩を選択できないといわれる医療機関の主な理由は、分娩の進行が予測しづらい特徴があるためです。
初産婦さんは計画無痛で子宮口の拡張処置をおこなっても、子宮口が十分に開きづらく、陣痛が起きないケースが多くあります。分娩が進みづらく、さらなる医療介入が必要になる可能性もゼロではありません。
そのため、安全に無痛分娩ができる設備が整えられていない場合、初産婦さんへ積極的に勧められない医療機関もあるでしょう。
初産婦さんでも無痛分娩を選択できる医療機関の特徴
初産婦さんでも無痛分娩を選択できる医療機関には、以下のようにいくつかの特徴があります。
- 麻酔科医が常駐している
- 緊急時にすぐに対応できる体制が整っている
- 無痛分娩の実績が豊富である
無痛分娩は麻酔薬を使用するため、万が一の事態に備えて、迅速な対応ができる医療体制が不可欠です。麻酔科医の常駐や24時間365日対応可能な人員体制、緊急時の搬送システムなど、十分な設備体制を整えていなければなりません。
また、経験豊富な医療機関であれば、さまざまな状況に対応できるノウハウが蓄積されています。お産の状況に合わせてスムーズにサポートできるため、初産婦さんでも無痛分娩を選択できるでしょう。
初産婦さんが無痛分娩を選択するメリット
初産婦さんは無痛分娩の選択により、おもに以下のメリットを得られます。
- お産にかかる身体的な負担を軽減できる
- 未経験で抱く痛みへの不安を軽減できる
- 初めての出産体験が満足したものへとつながりやすくなる
初めての出産は、身体的にも精神的にも負担が大きくなります。無痛分娩は、それらの解消に役立つ方法といえるでしょう。
メリットをそれぞれ解説しますので、自身のニーズに合っているか確認してください。
お産にかかる身体的な負担を軽減できる
無痛分娩は、出産時の痛みを軽減し、お産にかかる身体的な負担を抑えられます。
特に、初産婦さんの分娩は、時間が経産婦さんの約2倍かかるとされています。子宮口の開大や軟化、産道の伸展、骨盤自体の弛緩など、初めての出産で体にかかる負担も大きくなるでしょう。
麻酔薬によって陣痛の痛みを緩和できると、母体の体力消耗を抑え、産後の回復も早まりやすくなります。初めての育児に向けて、余力を残すことが可能です。
未経験で抱く痛みへの不安を軽減できる
初産婦さんにとって、出産は未知の体験です。分娩の痛みは想像を超えることもあり、「どれくらい痛いのか」「痛みに耐えられるのか」「パニックになったらどうしよう」など、不安を抱える妊婦さんも少なくありません。
無痛分娩を選択すると、陣痛の痛みを大幅に軽減できる分、精神的な負担が軽くなります。リラックスした状態で出産に臨めるようになるでしょう。
初めての出産体験が満足したものへとつながりやすくなる
初めてのお産は、喜びと同時に大きな不安をともない、陣痛の痛みへの恐怖により出産へのネガティブなイメージを強くしてしまう可能性もあるでしょう。
無痛分娩を選択すると、痛みへの恐怖や不安を軽減し、出産に前向きな気持ちで臨めるようになります。リラックスした状態で出産に臨めることで、分娩中の赤ちゃんの様子や医療スタッフとのコミュニケーションにも意識を向けやすくなり、より主体的な出産体験にできます。
赤ちゃんの誕生の瞬間をより鮮明に捉えられるため、満足度の高いお産をかなえることが可能です。
初産婦さんが無痛分娩を選択するデメリット
初産婦さんの無痛分娩は、身体的・精神的な負担を軽減できる一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 自然分娩より時間がかかりやすい
- 医療介入により自然分娩とはイメージが異なる
- 初産婦に限らず、副作用のリスクがある
麻酔薬を使用する無痛分娩は、自然分娩とは異なる出産方法です。麻酔薬の効果により分娩時間が長くなったり、副作用のリスクが生じたりする可能性があります。
デメリットをそれぞれ解説しますので、無痛分娩の選択が後悔につながらないよう正しく把握しておきましょう。
自然分娩より時間がかかりやすい
無痛分娩は麻酔薬を使用するため、自然分娩より時間がかかりやすくなります。
麻酔薬は、陣痛が開始してから子宮口が全開大になるまでの時間には影響しないとされています。しかし、子宮口が全開大になってから出産までの時間は、1時間ほど長くなる可能性があるでしょう。
子宮収縮剤を併用するケースが多くなりますが、無痛分娩による胎児への影響はあまりないとされています。
医療介入により自然分娩とはイメージが異なる
無痛分娩は、自然分娩に比べて医療介入が多くなります。たとえば、以下のような処置がおこなわれるでしょう。
- 硬膜外カテーテルの挿入
- 麻酔薬の投与
- 陣痛促進剤の投与
- 吸引分娩
- 子宮頚管拡張
薬剤を投与する点滴のほか、分娩の進行状況を把握するモニターなども装着され、自然なお産とはイメージがだいぶ異なる可能性があります。
自然なお産を希望する方は、無痛分娩でどのような医療介入があるのかをよく理解したうえで、慎重に検討することが大切です。
初産婦さんに限らず、副作用のリスクがある
無痛分娩は麻酔を使用するため、副作用のリスクが少なからず存在します。
たとえば、一時的な副作用には、以下のようなものがあげられます。
- 足の感覚が鈍くなる、足に力が入りにくくなる
- 尿意が弱まる、尿が出しにくくなる
- 血圧が下がる
- 熱が出る
- かゆみを生じる
また、稀に、硬膜穿刺後頭痛や局所麻酔薬中毒といった重度の合併症が起こる可能性もありますが、適切な処置をおこなえば重症化を防ぐことが可能です。副作用への取り組みなどについてWebサイトなどで記載されている医療機関は、慎重な観察・対応をおこなっていると判断できるため、医療機関選びの基準にするのも一つの方法です。
疑問や不安を解消できるよう、医療機関と十分に相談したうえで無痛分娩を検討しましょう。
まとめ
初産婦さんでも無痛分娩は可能ですが、なかにはできないとする医療機関もあります。
無痛分娩を選択できるかどうかは、医療機関の方針や妊婦さん自身の状態によって異なります。メリット・デメリットを理解したうえで、医師としっかり相談し、自身に合った出産方法を選択することが大切です。
まずは、かかりつけの医療機関が初産婦さんの無痛分娩にも対応しているか、確認してみるとよいでしょう。麻酔科医が常駐し、緊急時にすぐに対応できる体制が整っていたり、無痛分娩の実績が豊富だったりする場合、初産婦さんの無痛分娩も実施できる可能性があります。