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Article無痛分娩と帝王切開の違いを徹底比較!途中で移行する可能性についても解説

未分類 2024.11.16

無痛分娩と帝王切開の違いを徹底比較!途中で移行する可能性についても解説

出産方法を考える際、無痛分娩と帝王切開の違いがはっきりとわからず、もしものことを考えて不安になる妊婦さんもいるでしょう。無痛分娩と帝王切開は、どちらも麻酔を使用して出産に挑む方法ですが、その特徴や適応は大きく異なります。

この記事では、無痛分娩と帝王切開の違いを徹底比較します。無痛分娩から帝王切開へ移行する可能性についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

無痛分娩と帝王切開の特徴

無痛分娩と帝王切開は、妊婦さんの状態や希望などによって選択が分かれる出産方法です。まずは、それぞれの特徴を把握しましょう。

無痛分娩

無痛分娩は、硬膜外麻酔の使用により出産時の痛みを軽減する方法です。

硬膜外麻酔は一般的な手術でも使用される方法で、背中に細い管(硬膜外カテーテル)を挿入し、そこから麻酔薬を投与します。麻酔で下半身の痛みを和らげつつ、意識がしっかりと保たれた状態で出産できる方法です。

日本産婦人科医会によると、2023年度における無痛分娩による出産方法は約10人に1人の割合で選択されています。ここでは、無痛分娩のメリット・デメリットと適応・禁忌例を紹介します。

無痛分娩のメリット・デメリット

無痛分娩のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
・痛みの軽減により安心感につながる

・体力が温存され産後の回復がスムーズになる

・精神的な余裕により出産時の感動が味わいやすい

・分娩時間が延長する可能性がある

・麻酔による副作用が出る可能性がある

・麻酔効果が間に合わない可能性がある

無痛分娩は、麻酔によりお産の痛みを3分の1程度に軽減することが可能です。出産時の痛みを和らげられると、リラックスして出産に臨めます。

身体的・精神的な負担が軽減されることで出産時の感動を味わいやすくなり、さらに産後もスムーズに育児を始められるでしょう。

ただし、麻酔の効果や持続時間には個人差があり、出産に間に合わなかったり、麻酔の影響で子宮の収縮が弱まり陣痛促進剤を併用したりするケースもあります。薬剤を使用しての出産方法であるため、以下のような副作用が生じる可能性もあります。

  • 発熱
  • かゆみ
  • 血圧低下、吐き気
  • 尿意の弱まりや出づらさ
  • 足の感覚の鈍さや力の入りにくさ

多くは麻酔が効いている間のみの一時的なものであるため、適切な対処により出産後には消失します。

無痛分娩の適応と禁忌

無痛分娩が適応・禁忌となるケースは、以下のとおりです。

適応例 禁忌例
・無痛分娩を希望する人

・妊娠高血圧症候群や心疾患など、適応症に該当する人

・血液が固まりにくい体質(血液凝固障害)

・局所麻酔薬アレルギー

・大量出血、著しい脱水

・背骨が変形・手術後、背中の神経への疾患

・注射部位への膿、全身が感染状態

・高熱

無痛分娩は陣痛に不安が強い人におすすめの出産方法であり、禁忌例に当てはまらない場合は多くの人が選択できます。適応症と診断された場合には、保険適用となるケースもあるでしょう。

一方で、禁忌に当てはまる場合はリスクが高く、希望していても無痛分娩はおこなえません。無痛分娩の適応と禁忌は妊婦さんの状態や分娩当日の状況によっても異なるため、医師と相談しながら進めていくことになります。

帝王切開

帝王切開は、母子に何らかの問題が生じて経腟分娩が難しいと判断された場合に、手術で出産する方法です。妊娠37週までの健診で自然分娩が難しいと判断されたときは予定帝王切開、赤ちゃんや母親の体に問題が生じて急いで出産しなければならないときは緊急帝王切開をおこないます。

手術時間は約30〜60分で、脊椎麻酔・硬膜外麻酔・全身麻酔などを使用して、執刀から約5~10分で赤ちゃんが誕生します。厚生労働省の「周産期医療の体制構築に係る指針」によると、2020年における帝王切開で出産した人は約5人に1人の割合でした。

帝王切開のメリット・デメリットや適応・禁忌例を解説します。

帝王切開のメリット・デメリット

帝王切開のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
・母子に生じているリスクが軽減できる

・陣痛を感じない

・出産までの時間が短い

・手術後の合併症リスクがある

・切開部位の傷が痛む

・切開部位に傷跡が残る

母子に何らかのリスクがある場合におこなわれる帝王切開は、実施によりその問題を解消することが可能です。母体は陣痛や会陰切開・産道の損傷による痛みも生じず、赤ちゃんも低酸素状態になるリスクや分娩時の圧迫による頭部の変形を抑えられます。

一方で、母親は手術で腹部を切って赤ちゃんを産むため、産後に傷の痛みが生じます。感染リスクや傷跡が残る心配もありますが、こちらは適切な対処により最小限に防ぐことが可能です。

帝王切開の適応と禁忌

帝王切開が適応・禁忌となる例は、以下のとおりです。

適応例 禁忌例
〈予定帝王切開〉

・骨盤位:逆子

・多胎妊娠:双子など

・前置胎盤:
胎盤が赤ちゃんの出口を覆った状態

〈緊急帝王切開〉

・遷延(せんえん)分娩:お産が長引いた状態

・胎児機能不全:
胎児に何らかの異常が見られている状態

・常位胎盤早期剝離
(じょういたいばんそうきはくり):
出生前に胎盤が剥がれてきている状態

・赤ちゃんより、へその緒が先に出た状態

・母体が手術に耐えられない状態

・重度の感染症がある

・出血傾向がある

帝王切開は、命に危険があり急いでおこなわなければならないケースから、比較的余裕のあるケースまで、緊急度合いもさまざまです。医師は母子の状態を総合的に評価し、帝王切開のリスクと利点を十分に検討したうえで、最適な分娩方法を選択します。

無痛分娩と帝王切開を5つの点で徹底比較

無痛分娩と帝王切開の違いに関してよく聞かれる内容を、以下の表で比較しました。

比較
項目
無痛分娩 帝王切開
痛みの
程度
陣痛は約3分の
1程度になる
陣痛の痛みは
ないが傷の
痛みがある
(約3日間)
回復
期間
比較的短い 長い
(約6~10日)
母体の
負担
中程度 大きい
赤ちゃん
への
影響
あまりない 呼吸障害を
起こす
可能性
費用 保険適用外 保険適用

個人差もありますが、出産時はどちらも麻酔が効いているため大きな痛みを感じにくくなります。ただし、後陣痛や術後の傷により、麻酔が切れたあと数日間は痛みを生じやすいでしょう。

痛み止めの使用も可能であるため、痛みが強い場合は我慢せずに医師や看護師に相談してください。

身体的な負担が抑えられる無痛分娩は、回復にかかる期間も短く、赤ちゃんへの影響もあまりないとされています。費用面では、無痛分娩は保険適用外です。医学的に必要と判断された場合におこなわれる帝王切開のほうが、自己負担額を抑えられます。

無痛分娩と帝王切開はさまざまな点で異なるため、それぞれの特徴を把握しておくと、もしものときもスムーズに選択できます。

無痛分娩から帝王切開になる可能性もある

無痛分娩を進めていても、経過によっては途中から帝王切開に変更される場合もあります。移行が必要となる状況やその場合の麻酔の調整方法を解説します。

移行が必要となる状況

無痛分娩から帝王切開への移行が必要となる状況には、おもに以下のようなケースが考えられます。

  • 分娩進行の停止
  • 胎児の状態悪化
  • 臍帯脱出(へその緒が赤ちゃんより先に出てしまう状態)
  • 母体の状態悪化
  • 胎盤早期剥離など

胎児心拍モニタリングで異常が見られた場合や妊娠高血圧症候群が急激に悪化した場合などには、命の危険があるため、速やかに帝王切開へ移行する可能性が高いでしょう。その場合、麻酔方法の変更も必要となるケースがあります。

麻酔の調整方法

無痛分娩から帝王切開に移行する場合、すでに硬膜外麻酔を使用している状態です。手術前には、おもに以下の2つの方法から調整が選択されます。

  • 抜去後に再度、硬膜外カテーテルを挿入する
  • 脊髄くも膜下麻酔をおこなう

挿入している硬膜外麻酔が帝王切開の痛みを取るために不十分と医師が判断した場合、麻酔をやり直すケースもあります。

また、無痛分娩では分娩時の痛みを取り、足はある程度動くレベルで麻酔をおこないますが、帝王切開はより強い麻酔薬を使用します。脊髄くも膜下麻酔をおこなうこともあるため、足の動きづらさは強くなるでしょう。

その代わり、手術中に痛みを伴うことはほぼありません。

まとめ

無痛分娩と帝王切開は異なる特徴をもつ出産方法です。どちらも麻酔を使用するため、出産時の痛みはさほど心配ありません。

出産後には後陣痛や傷の痛みなどが生じますが、痛み止めで対処可能です。

また、費用面でも異なり、全額自己負担の無痛分娩に対し、帝王切開は保険適用されます。母子に何らかの問題が生じた際に選択される帝王切開は、無痛分娩から急に移行するケースもあるでしょう。

少しでも安心して出産に挑めるよう、ぜひ今回の記事を出産方法の把握に役立ててください。

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