Article無痛分娩の費用相場は?費用の内訳・地域差・補助金制度についても解説
未分類 2024.11.16
「無痛分娩にしたいけど費用が気になる」「無痛分娩の費用相場ってどれくらいなんだろう?」
これから無痛分娩を検討している方のなかには、費用に関する疑問がある方もいらっしゃるでしょう。無痛分娩の費用は、正常分娩(自然分娩)の費用に加算される形で総額が決まります。
無痛分娩の費用相場は15~20万円で、正常分娩の全国平均が約48万円のため、総額の相場としては63〜68万円になります。正常分娩は地域や施設によって費用が変化するため、里帰り出産の有無によっても費用が変わるでしょう。
本コラムでは無痛分娩の費用相場に加え、分娩費用の内訳・補助金制度についても解説します。費用の詳細を確認したうえで、無痛分娩を検討する際の参考にしましょう。
無痛分娩の費用相場は正常分娩+15~20万円
無痛分娩の費用は、正常分娩(妊娠満37週〜42週のあいだに、帝王切開などを伴わず進行する経腟分娩)に無痛分娩費用が加算されて総額が決まります。厚生労働省の令和5年度「出産費用の見える化等について」によると、令和4年度の全施設の出産費用の平均は48.2万円という結果から、無痛分娩の費用相場は約63〜68万円です。
しかし正常分娩の費用は地域や出産する施設によってかわるため、あくまでも平均的な相場になります。妊娠・出産は病気でないため費用に保険適用されませんが、健康保険や国民健康保険から出産育児一時金の50万円が支給されるため、差額を負担します。
無痛分娩費用の分娩施設や地域による違い
正常分娩の費用は分娩施設や地域によって25万円ほどの幅があり、分娩施設・地域による違いについて解説します。
無痛分娩費用の分娩施設による違い
厚生労働省の資料によると、各施設における正常分娩費用の平均値は次のとおりです。
※室料差額、産科医療補償制度掛金、その他の費目を除く出産費用の合計額
施設別 | 平均値 | 無痛分娩費用 15~20万円を 加算した総額 |
全施設 | 48,2万円 | 63,2~68,2万円 |
公的病院 ・国公立病院 ・国公立大学病院 ・国立病院機構等 |
46,3万円 | 61,3~66,2万円 |
私的病院 ・私立大学病院 ・医療法人病院 ・個人病院等 |
50,6万円 | 65,6~70,6万円 |
診療所 ・官公立診療所 ・医療法人診療所 ・個人診療所 ・助産所等 |
47,9万円 | 62,9~67,9万円 |
全施設の費用平均は48,2万円で、施設ごとに見ると最も高い私的病院の50,6万円と、最も安い公的病院の46,3万円では約4,3万円の差があります。上記の費用には個室の室料などは含まれておらず、個人病院で独自のお祝い膳などのサービスを希望する場合、費用はさらにあがります。
無痛分娩は正常分娩からさらに15〜20万円必要なため、公立病院で無痛分娩した際の費用相場は63,3〜68,3万円、私的病院の場合は65,6~70,6万円です。
無痛分娩費用の地域による違い
分娩費用は地域によっても異なり最大で約25,0万円の差があるため、里帰り出産を検討している方には費用面でも参考になるでしょう。
都道府県ごとにみた施設別の正常分娩費用の平均値は、次のとおりです。
【全施設の費用相場】※室料差額等をのぞいた金額
都道府県別 | 平均値 | 無痛分娩費用 15~20万円を 加算した総額 |
全国平均 | 48,2万円 | 63,2~68,2万円 |
東京都 (最も高い) |
60,5万円 | 75,5~80,5万円 |
神奈川県 (2番目に高い) |
55,0万円 | 70,0~75,0万円 |
熊本県 (最も安い) |
36,1万円 | 51,1~56,1万円 |
【公的病院の費用相場】※室料差額等をのぞいた金額
都道府県別 | 平均値 | 無痛分娩費用 15~20万円を 加算した総額 |
全国平均 | 46,3万円 | 61,3~66,2万円 |
東京都 (最も高い) |
56,3万円 | 71,3~76,3万円 |
茨城県 (2番目に高い) |
53,1万円 | 68,1~73,1万円 |
鳥取県 (最も安い) |
35,9万円 | 50,9~55,9万円 |
いずれの場合も東京都が最も高く、2番目の都道府県と3.2〜5.5万円の差があります。また東京都と鳥取県を比較した場合、全施設で24.4万円、公的病院は20.4万円の違いがありました。
費用に差が出る要因としては、医師や助産師の人件費、土地代、医療設備などが挙げられます。分娩は自由診療で病院独自の価格設定ができるため、都心の方が土地代や人件費の影響を受けやすいと考えられます。
無痛分娩費用の内訳
正常分娩にかかる費用の内訳は、次のとおりです。
項目 | 平均値 |
入院料: 入院時の室料や食事料 |
11,3万円 |
分娩料: 正常分娩時の医師・助産師の 技術料及び分娩時の看護・介助料 |
25,4万円 |
新生児管理保育料: 新生児にかかわる管理・保育 に要した費用 |
5,1万円 |
検査・薬剤料: 妊婦に係る検査・薬剤料 |
1,3万円 |
処置・手当料: 妊婦に係る医学的処置や乳房ケア、 産褥指導等の手当に要した費用 |
1,5万円 |
室料差額: 差額が必要な部屋に 入院した場合の差額 |
1,7万円 |
産科医療補償制度: 産科医療補償制度の掛金相当費用 |
1,6万円 |
その他: 文書料、材料費及び医療外費用 (お祝い膳等)等、上記の7項目に 含まれない費用 |
2,8万円 |
合計 | 50,7万円 |
出典:正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)|国民健康保険中央会
また無痛分娩にかかる費用の内訳は、以下のようなものがあります。
- 無痛分娩料
- 薬剤料
- 硬膜外麻酔分娩管理料
薬剤料は硬膜外麻酔に使用する薬剤の費用で、硬膜外麻酔分娩管理料は麻酔に関する手技や管理費です。この他にも出産が早朝・深夜休日に重なった場合、入院が延長になる、お産がすすまず陣痛促進剤を使用した場合など、費用が加算されるケースがあります。
無痛分娩は保険適用外
出産は病気やけがに該当せず公的医療保険適用対象外という考え方のため、基本的には正常分娩にかかる費用は全額自己負担です。そのため分娩費用は病院が独自に決定でき、施設や地域によって価格差がうまれます。
ただし異常分娩の場合は医療行為が介入するため保険適用になり、次のようなケースが該当します。
- 帝王切開
- 吸引分娩や鉗子(かんし)分娩
- 早産(37週未満での出産)
- 骨盤位分娩(逆子のこと)
異常分娩の場合は手術・検査・処置・麻酔などの医療的な処置にかかる費用、入院料についても保険適用になりますが、食事や新生児管理保育料などは保険適用外です。また厚生労働省は2026年度にも正常分娩の自己負担をなくす方向で検討を始めており、今後の動向が注目されます。
無痛分娩費用の補助金制度
妊娠・出産時に受け取れる補助金のなかで、特に分娩費用の軽減にかかわる制度について解説します。
出産育児一時金
出産育児一時金は、公的医療保険の加入者で妊娠4ヶ月(85日)以上の方が出産した場合に、1児につき一律最大50万円が給付されます。以前は1児につき一律42万円でしたが、令和5年4月1日以降50万円に引き上げられました。
原則、日本では誰もが公的医療保険に加入しているため、出産予定の方であれば受給可能です。
出産育児一時金の支給方法は、次の2種類に分けられます。
- 直接支払制度:医療機関に対して直接支払われるため、被保険者は50万円の差額を病院で支払う方法
- 受取代理制度:医療機関へ直接支払わず、被保険者が申請することで一時金を受給する方法
産科医療補償制度に未加入の医療機関や、妊娠週数22週未満で出産した場合は、支給額が48.8万円になります。被保険者が申請手続きする必要があるため、妊娠が判明した時点で早めに手続きしましょう。
医療費控除
医療費控除とは、1年間に医療費が10万円を超えた場合に所得から控除される仕組みです。出産費用のうち、次のような費用が医療費控除の対象となります。
- 妊娠検診などの費用やそのための通院費用
- 出産で入院するときに医療機関へ向かうために利用したタクシー代(交通手段の利用が困難な場合)
- 医療機関に支払う入院中の食事代
また里帰り出産のための交通費や、入院に際して購入した衣類や身の回り品は対象外です。
まとめ
無痛分娩費用の相場は15〜20万円の施設が多く、全国の平均出産費用をベースにした場合の無痛分娩費用は約63〜68万円です。しかし出産する施設や地域で費用に差があるため、最も高い東京都の場合は約80万円かかるケースもあれば、逆に約50万円でおさまる地域もあります。
無痛分娩は基本的に保険適用外ですが、出産育児一時金などの補助金制度があり、帝王切開など異常分娩になった場合は保険が適用されます。無痛分娩を選択する場合は、出産予定の地域や施設を費用面でも検討したうえで選択しましょう。