Article無痛分娩で後悔するケースは?よくある3つのパターンと対策を解説
未分類 2024.12.08
無痛分娩を選択したものの、後悔を感じてしまうケースがあります。安全・安心な出産を迎えるためには、無痛分娩について正しく理解することが大切です。
この記事では、無痛分娩で後悔する3つのパターンと、後悔しないための対策を解説します。医療機関選びのポイントも紹介しますので、満足いく出産方法を選択するために正しい知識を得てください。
無痛分娩で後悔する3つのパターン
無痛分娩で後悔する場合、以下3つのパターンが考えられます。
- 思ったより痛みを感じた
- 副作用や合併症のリスクがある
- 費用が高額だった
それぞれ解説します。
1.思ったより痛みを感じた
無痛分娩は「無痛」という言葉から、まったく痛みがない状態を期待してしまう妊婦さんもいらっしゃいます。しかし、無痛分娩は、麻酔によって痛みを軽減するものであり、痛みをゼロにできるわけではありません。
無痛分娩は麻酔の使用により、お産の痛みを3分の1程度に軽減できるとされています。無痛分娩で痛みを感じる場合には、以下のような原因が考えられるでしょう。
- 背中へのカテーテル挿入に違和感がある
- 個人ごとに痛みの感じ方が異なる
- 麻酔の効果が間に合っていない
無痛分娩には、主に硬膜外麻酔を使用します。この麻酔では背中からカテーテルを挿入するため、押し進める段階で圧迫感があったり、一時的に電気の走るような痛みを感じたりする場合があります。
また、麻酔の効き方にも個人差があるため、痛みの感じ方も人それぞれです。効果が現れにくかったり、お産の進行が予想以上に早かったりすると、鎮痛効果を十分に得られない状態で出産にいたる場合もあります。
2.副作用や合併症のリスクがある
無痛分娩は麻酔を用いるため、いくつかのリスクが考えられます。リスクを正しく把握していなかったことで、後悔につながる可能性もあります。
無痛分娩で起こりうる副作用は、以下のとおりです。
- 足の感覚が鈍くなる、足に力が入りにくくなる
- 尿意が弱まる、尿が出しにくくなる
- 血圧が下がる
- 熱が出る
- かゆみを生じる
これらは、多くが一時的な症状であり、麻酔効果が切れるとともに消失するでしょう。
また、稀な副作用には、頭痛や吐き気を生じる硬膜穿刺後頭痛や、血液中の麻酔薬の濃度が高くなってしまう局所麻酔薬中毒などがあげられます。無痛分娩を施す医療機関では、これらの副作用を早期に発見・対応するために、適切なモニタリングのもと、麻酔の調整をおこないます。
3.費用が高額だった
無痛分娩は通常の分娩費用に加えて料金が加算されるため、費用が高額になったことで後悔につながるケースもあります。医療機関の規模や種類、地域によっても異なりますが、無痛分娩の費用相場は約15万~20万円です。
厚生労働省の「出産費用の見える化等について」によると、2022年における医療機関ごとの無痛分娩費用の差は以下のとおりです。
これに無痛分娩の費用相場を足した場合、もっとも高い私的病院での目安は約55.6万~70.6万円になります。出産一時金で1人の子どもにつき50万円が支給されるとはいえ、医療機関によっては自己負担額が大きい場合もあるでしょう。
無痛分娩で後悔しないための対策
無痛分娩で後悔しないためには、麻酔について正しく理解しておくことが大切です。メリット・デメリットを把握しつつ、費用面では内訳や補助金制度についても調べておきましょう。
それぞれの対策を詳しく解説します。
麻酔の種類や効果、追加麻酔の可能性を理解する
無痛分娩について正しく理解するためには、使用する麻酔の種類や効果、追加麻酔の可能性について理解することが大切です。
無痛分娩で使われる麻酔には、硬膜外麻酔のほか、脊髄くも膜下麻酔、静脈麻酔があります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
種類 | 特徴 |
硬膜外麻酔 | 背中からカテーテルを挿入し、硬膜外腔に麻酔薬を持続的に投与する方法。 陣痛の痛みをやわらげながら、意識のある状態で出産に臨める。 |
脊髄くも膜下麻酔 | 硬膜外麻酔と同じ針穴から出る専用の針を通じて、脊髄くも膜下腔に麻酔薬を投与する方法。 硬膜外麻酔より麻酔効果が早い。 |
静脈麻酔 | 点滴での麻酔方法。 硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔が難しい場合におこなうが、効果はこの中でもっとも弱い。 |
産婦さんによっては、追加麻酔が必要になるケースもあります。麻酔薬が増える分、副作用のリスクも生じるでしょう。
無痛分娩のメリット・デメリットを理解しておく
無痛分娩で後悔しないためには、メリット・デメリットを把握しておきましょう。無痛分娩を選択すると、以下のメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
・痛みの軽減と安心感につながる
・体力が温存され産後の回復がスムーズになる ・精神的な余裕により出産時の感動が増える |
・麻酔による副作用が出る可能性がある
・分娩時間が延長する可能性がある ・麻酔効果が間に合わない可能性がある ・分娩費用が高くなる |
無痛分娩は麻酔を使用するため、副作用や効果の出現など、懸念点が生じます。
しかし、十分な鎮痛効果が得られれば、痛みを軽減でき、満足いくお産につながりやすくなります。精神的な余裕も生まれ、出産時の感動体験を味わいやすくなったり、産後の育児がスムーズにおこなえたりするでしょう。
費用の内訳を理解し、助成金制度を活用する
無痛分娩は自然分娩より分娩費用が高くなるため、内訳を把握しつつ、補助金制度を活用するのがおすすめです。
無痛分娩をおこなった場合の一般的な内訳は、以下のとおりです。
ベースの 分娩費用 |
・分娩基本料金
・入院料 ・胎盤処置料 ・文書作成、事務手数料 ・新生児管理料 ・処置入院管理料 ・指導、相談料など |
加算費用 | ・無痛分娩の費用
・夜間、早朝加算 ・休日加算 ・出産前後における入院期間の延長費用 ・誘発分娩管理料 ・緊急の帝王切開や無痛分娩の加算 ・新生児聴力検査 ・新生児拡大マススクリーニング |
分娩状況によっては、保険適用された費用がかかることもあるでしょう。
また、お住まいの地域によっては、助成金制度が用意されている場合もあります。たとえば横浜市では「出産費用助成金」の制度が用意されており、該当する場合は出産した子ども1人につき最大9万円の助成金を受けられます。
お住まいの地域に活用できる助成金制度がないか、確認してみるのがおすすめです。
無痛分娩で後悔しないための医療機関選びのポイント
無痛分娩を選択する場合、安心できる医療機関を選ぶことが大切です。ただ無痛分娩を取り扱っているというだけの理由で選ぶと、後悔につながってしまう状況もありえます。
医療機関選びのポイントを紹介しますので、自分に最適な出産場所を探すための参考にしてください。
無痛分娩の実施体制
安心して無痛分娩をおこなうためには、医療機関の実施体制を確認しましょう。たとえば、以下の内容があげられます。
- 24時間365日の体制である
- 麻酔科医が常駐している
24時間365日体制で麻酔科医が常駐している医療機関であれば、自然に陣痛が来てからでも、無痛分娩をすぐに始めることが可能です。
無痛分娩を取り扱う医療機関には、計画無痛のみ可能なところもあります。こういった体制があれば、陣痛のタイミングは自然に任せ、陣痛が始まったら硬膜外麻酔を行うといった選択をとることも可能です。
麻酔科医の常駐により、なにか不具合が生じてもスムーズに対応できるでしょう。
安全設備
設備面では、以下のポイントを確認します。
- 母体・胎児の安全管理のための設備があるか
- 緊急時の対応設備があるか
新生児科医師や小児科医師との連携がとれているかも、重要なポイントです。また、母体搬送システムなどについて明記されているか確認すると、万が一に備えて安心できます。
無痛分娩の実績
無痛分娩の実績も重要な確認ポイントです。医療機関での無痛分娩の実績数のほか、医師の経験や実績、助産師の経験や資格(新生児蘇生法など)を確認するのがおすすめです。
なかには、副作用の出現割合について明記している医療機関もあります。明確に示されている医療機関の場合、安心して無痛分娩を選択できるでしょう。
まとめ
無痛分娩で後悔する場合に考えられる原因には、痛みの感じ方や副作用・合併症、費用などがあげられます。いずれも、無痛分娩について正しく理解していなかったことが関与しています。
後悔しないお産にするために、麻酔の種類や効果、メリット・デメリット、費用の内訳・助成金制度など、正しい情報を把握したうえで出産方法を選択しましょう。
なかには、無痛分娩の説明会を開催している医療機関もあります。うまく活用して、満足いくお産につなげてください。