Article動きすぎると切迫早産になる?考えられる原因や症状、対処法を解説
未分類 2025.02.05

妊婦健診でお腹の張りを指摘され、切迫早産が心配な方もいるでしょう。特に、仕事や家事で忙しい毎日を送っている場合、「動きすぎが原因かもしれない」と不安になると思います。
この記事では、切迫早産と動きすぎの関係やそのほかに考えられる原因、症状、対処法について解説します。安心して妊娠生活を送れるよう、ぜひ参考にしてください。
切迫早産とは
通常、妊娠37週から41週6日までに出産するのが理想(正期産)とされていますが、それ以前に分娩が始まりそうな状態が切迫早産です。切迫早産を放置すると早産につながる可能性があります。
まずは、切迫早産の症状や、早産との違いについて解説します。
切迫早産の症状
切迫早産には、以下のような症状がみられます。
- 出血
- 下腹部の痛みや張り(周期的または持続、安静にしてもおさまらない)
- 破水感
- 胎動の減少
切迫早産はどの時期にも起こりえますが、妊娠週数が進むほど起こりやすいとされています。
早産との違い
早産は、妊娠22週から37週未満で実際に出産にいたる状態です。一方、切迫早産は早産の予備軍ともいえる状態であり、適切な治療や安静により、正期産(37週以降の出産)まで妊娠を継続できる可能性があります。
切迫早産は早期発見・早期治療により、正常な妊娠期間をまっとうできる可能性があるため、定期的な妊婦健診で症状の有無をチェックすることが大切です。
動きすぎは切迫早産の原因になるのか
厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート」によると、立ち仕事の時間が長くなるほど、切迫早産になる可能性があるといわれています。
1日あたりの立ち仕事の合計時間でもっとも多いのは「6~8時間」(39.1%)で、長時間の立ち仕事で1番多く診断されたのは「切迫流産(妊娠22週未満)」「切迫早産(妊娠22週以降)でした。
引用:厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート|長時間の立ち仕事
また、同サイトの「切迫早産(妊娠22週以降)」では、ほかにも以下のような作業や職業に従事する場合には注意する必要があるとしています。
- 激しい全身運動をともなう作業(スポーツインストラクターなど)
- 筋力を多く使う作業(物品の集配、保育士・看護師・介護職など)
- 歩行時間の長い作業(外勤営業など)
- 精神的負担の大きい作業(納期や締切に追われる設計・開発職や編集作業、対人折衝の多い営業職など)
動きすぎというよりは、心身ともに負担の大きい環境に注意が必要になります。
切迫早産のおもな原因
切迫早産には、いくつかの要因が関係しています。おもな原因は、以下のとおりです。
- 体質
- 感染症
- 多胎妊娠
- 筋腫合併妊娠
- 円錐切除術の既往
- 羊水過多
- 喫煙
それぞれ解説します。
体質
過去に早産もしくは切迫早産になった⽅は、切迫早産になる可能性があります。これは、炎症を引き起こしやすい素因があったり、⼦宮頸管が軟化しやすい体質があったりするためではないかと考えられています。
感染症
細菌性膣症により⼦宮頸管炎が起こると、切迫早産につながる可能性があります。細菌性膣症の原因は、温⽔洗浄便座の使⽤や性⾏為などで、腸内細菌が膣に⼊り込むことなどです。
感染症により子宮内に炎症が起こると、プロスタグランジンと呼ばれる物質が分泌され、子宮収縮を引き起こす恐れがあります。感染により早期破水するリスクも高まります。
同様に、⻭周病や虫歯なども炎症物質のプロスタグランジンが関与するといわれているため、口腔内環境が良くない場合にも注意が必要です。
多胎妊娠
双子やそれ以上の胎児を妊娠する多胎妊娠では、子宮が通常よりも大きく膨らむため、切迫早産のリスクが高まります。子宮の過度な伸展や子宮内圧の上昇などにより、双子の妊娠では早産率が約50%になるともいわれています。
筋腫合併妊娠
子宮筋腫がある状態で妊娠した場合、切迫早産のリスクが高まることがわかっています。これは、子宮筋が急激に伸展することで筋腫核の血行障害や虚血が起こり、子宮収縮を起こす物質プロスタグランジンが放出するためです。
子宮筋腫は切迫早産のほかにも、以下の状況を引き起こす可能性があります。
- 胎位(赤ちゃんの位置)の異常
- 前置胎盤(胎盤が子宮口を覆った状態)
- 自然流産を繰り返す
- 分娩後の異常出血
まれに、筋腫が産道を部分的に閉塞するケースもあります。とはいえ、筋腫があるからといって、必ずしも切迫早産やほかの症状を引き起こすわけではありません。
円錐切除術の既往
子宮頸部の細胞診で異常が見つかった場合、がんの前段階の病変を切除するために「円錐切除術」を受けることがあります。この手術を受けた方は、切迫早産のリスクが高くなります。
これは、円錐切除術によって子宮頸管が短くなることが原因です。子宮頸管は赤ちゃんを支える重要な役割を担っており、その長さが短くなると子宮口が開きやすくなります。
ただし、円錐切除術を受けた方でも適切な管理により正期産で出産できるケースも多いため、早めに医師に相談し、必要に応じて頸管縫縮術などの予防措置を検討することが大切です。
羊水過多
羊水過多とは、羊水の量が通常より著しく多くなった状態をいいます。通常、羊水のもととなる胎児尿は妊娠12週頃より産生が始まり、羊水量は妊娠34週頃にピークを迎えます。
羊水過多になると、子宮が過度に拡張され、子宮収縮を引き起こしやすくなるでしょう。羊水過多の原因には、以下があげられます。
- 胎児の先天異常(食道の閉塞や尿路の閉塞)
- 多胎妊娠
- 妊婦さんの糖尿病
- 胎児の貧血(母体で胎児の血液に対する抗体が作られるRh式血液型不適合など)
- そのほかの胎児の病気(感染症や遺伝性疾患など)
とはいえ、ほぼ半数が原因不明です。
羊水過多の場合には、定期的な超音波検査で、胎児の成長のモニタリングと羊水量の計測をおこないます。
医師が羊水を除去することはあまりありませんが、早期の分娩開始や母体への重大な問題がある場合には、針で妊婦さんの腹部から羊水を除去するケースもあります。
喫煙
喫煙は切迫早産のリスクを高めるうえ、赤ちゃんが小さく生まれる低出生体重児になる恐れがあることがわかっています。
これは、タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素、シアン化合物、鉛などの物質が、胎児毒性と血管収縮作用を有するためです。
厚生労働省では、妊娠中の喫煙が胎児に及ぼす相対危険度について、さまざまな調査を一覧で公開しており、これによると早産は1.5~3.3倍、低出生体重児は1.3~2.5倍にもなるとわかっています。
また、日本産婦人科医会・先天異常委員会委員の国立成育医療センター周産期診療部 胎児診療科、左合治彦氏によると、妊婦さんの喫煙本数が多いほど早産率が高くなることもわかっています。
妊娠早期に禁煙すると出生時体重がほぼ正常となり、早産率も減少するため、できるだけ早期の禁煙が重要になります。妊婦さん本人のほか、ご家族が吸うことでの受動喫煙にも注意しなければなりません。
切迫早産への対処法
切迫早産の治療は、症状の程度によって以下の3段階で対応します。
- 無理のない妊娠生活を心がける
- 子宮収縮抑制薬を使用する
- 子宮頸管縫縮術をおこなうケースもある
それぞれ解説します。
無理のない妊娠生活を心がける
切迫早産と診断された場合には、無理のない妊娠生活を過ごすために環境を整える必要があります。
日常生活での過度な負担を避けるために、重い荷物を運ばないようにしたり、急な階段の上り下りはゆっくりとおこなったり心がけることが大切です。
また、お腹の張りを感じたらすぐに横になって休む、疲れを感じたら無理せず休息を取るといった行動をとりましょう。医師と相談しながら、自分にとって適切な活動量を確認しておくと安心です。
子宮収縮抑制薬を使用する
切迫早産の症状が進行した場合、医師の判断のもと内服薬や点滴の子宮収縮抑制薬を使用します。おもに使用する子宮収縮抑制薬は、塩酸リトドリンや硫酸マグネシウムです。
自宅での経過観察が難しいと判断された場合には、入院して点滴治療になるでしょう。また、切迫早産の原因が細菌による感染の場合には、抗生剤を使用します。
子宮頸管縫縮術をおこなうケースもある
妊娠中に子宮頸管が短くなってしまう、あるいは開きやすい状態(子宮頸管無力症)の場合、子宮頸管縫縮術がおこなわれるケースもあります。この手術は、子宮頸部の周囲や子宮頸部を糸で縫い閉じることで早産を防ぐ治療法です。
一般的には過去2回の流産を妊娠中期ごろに経験し、その原因が子宮頸管無力症によるものと診断されている場合には、妊娠前もしくは妊娠初期に頸管縫縮術をすすめます。
妊娠中期ごろでの流産の既往がなく、妊娠中に超音波検査で子宮頸管の短縮が判明した妊婦さんに対しては、超音波検査によるモニタリングの継続で対応できるか、頸管縫縮術が必要かを医師が評価して決めていきます。
妊娠22~23週以降に切迫早産が疑われると、胎児の肺の成熟を助けるためにコルチコステロイドという薬剤を処方され、一時的または終日ベッド上で過ごす「ベッド上安静」が指示される場合もあるでしょう。
まとめ
切迫早産は動きすぎというよりは、負荷の大きい環境によって引き起こされる可能性があります。また、活動面だけでなく、体質的要因や感染症、多胎妊娠など、複数の原因が考えられます。
診断されたときには医師の指示に従い、安静にすることが大切です。早期発見・早期治療により、正期産まで妊娠を継続できる可能性が高まります。